「英語表現がマンネリ化してきた...」「なんかネイティブっぽい文章が作れない...」
独学で英語を長いこと学んできた人なら、どことなくこんな悩みを抱いたことがあるのではないでしょうか?
基本を国内で教科書やオンライン英会話を通して英語を学んでいる人と、帰国子女や留学経験者の話す英語の大きな違いの1つに "無生物主語" というものがあります。
無生物主語とは、主語にあたる部分に生物以外の "物" や "概念" を用いる文法事項で、日本語にはあまりない考え方のため、英語学習をしている環境の違いで上手く使いこなせているかがはっきりと分かれる部分でもあります。
今回はそんな、ネイティブ同士の日常会話でもよく用いられる『無生物主語を使いこなす方法』についてを解説していきます。
それではさっそく見ていきましょう!
記事の内容
- 無生物主語とは?
- 無生物主語を使いこなすためのポイント
- 無生物主語を用いるメリット
記事の信頼性
子育てをしながら社会人から、留学なしで英語・中国語を身に付けてきたプロセスをシェアしています。
Contents
無生物主語とは?
それではまずは『無生物主語の基本情報』から確認しておきましょう。
すでに上でご説明した通り、無生物主語とは人以外の事柄(物, 原因, 方法, 手段...)を主語として用いる、我々日本人にとってあまり馴染みのない文法事項です。
日本語でも以下の例文のように人以外を主語として用いられることはありますが、英語と比べそこまで高頻度に使われているわけではありません。
日本人にとって見慣れない文構造だからこそ「こんな表現、日常英会話でも使われないのではないか?」と勘繰ってしまいそうになりますが、実際はネイティブは会話でも頻繁に使用しています。
そんな多くの人が苦手意識を持つ無生物主語は、実はあるポイントを押さえておくだけで簡単に使いこなすことが可能になっています...
無生物主語を使いこなすためのポイント
では続いて『無生物主語を使いこなすためのポイント』について見ていきます。
無生物主語を用いた英文を作る際に、おそらく多くの人が苦戦してしまうポイントは "動詞の選定" だと思います。
主語については、なにか人以外の名詞(天気, アイディア, 雰囲気...なんでもOK)や動名詞を用いれば簡単に決めることができますが、それに続く動詞は、その後の目的語との相性・文章全体の組み立てに大きく関わるため難しい部分です。
無生物主語を用いた英文では、もちろん基本的にはどんな動詞でも使用することは可能ですが、実は "よく使われる相性の良い動詞" というものが存在します。
以下に "無生物主語と相性の良い動詞5パターン" をご紹介していきますので、ぜひ英語初学者のうちはこれらのポイントだけでも押さえておくようにしてください。
無生物主語と相性の良い動詞
- 使役動詞
- 伝達動詞
- 心情を変化させる動詞
- 連れていく系の動詞
- 防ぐ系の動詞
使役動詞
まず最初にご紹介する相性の良い動詞が『使役動詞』です。
特に make に関しては "無生物主語といったらこれ!" と言えるほど高頻度に使われるので、必ず押さえておきましょう。
意外と忘れられがちなのが、下の例文③のように疑問詞と一緒に使う無生物主語のパターンです。
「What (who) makes S V ~?」はよく使用される形なので、何度も自分で例文を作り練習しておきましょう。
例文
① Hard work makes success possible.
努力が成功へと導いてくれる。
② His words made her cry.
彼の言葉に、彼女は泣いた。
③ What makes you think so?
なんでそう思ったの?
伝達動詞
続いてご紹介する相性の良い動詞が『伝達動詞』です。
伝達動詞とは例えば「tell, say, show」などに分類される、メッセージや情報の伝達を表す動詞を言います。
新聞やニュースといった無生物の単語を主語に置き、まるでそれらが話すかのような言い回しで文章を組み立てていきます。
客観性に重きを置く論文や、グラフの情報などを示す際にも使われる便利な表現なので、必ず押さえておきましょう。
例文
① The book says that exercise is important for maintaining good health.
その本は、運動が健康を維持するために重要であると言っています。
② The presentation told us about the new company policies.
そのプレゼンテーションが、新しい企業の方針についてを私たちに教えてくれた。
③ The map shows the location of the nearest hospital.
その地図が、最寄りの病院の場所を示しています。
心情を変化させる動詞
続いて3つ目にご紹介する相性の良い動詞が『心情を変化させる動詞』です。
例えば「surprise, excite」などの、普段は過去分詞形で用いられるような動詞がこの系統に分類されます。
「I'm surprised by the news」と言うところを「The news surprised me」と言い換える、簡単な文章から始めることをオススメします。
例文
① The unexpected gift surprised me.
予想もしていなかったプレゼントに驚いた。
② The roller coaster ride thrilled the visitors.
来場客は、ジェットコースターに興奮した。
③ The aggressive behavior of the dog threatens the safety of the neighborhood.
その犬の攻撃的な行動が、近所の安全性を脅かしている。
連れていく系の動詞
続いて4つ目にご紹介する相性の良い動詞が『連れていく系の動詞』です。
連れていく系の動詞とは例えば「take, bring, lead」などのことを指します。
乗り物や道路などが人々をある場所や状況に案内したり、何か変化などが特定の結果をもたらしたりする際に使われます。
例文②は、相手に日本に来た理由を聞く際のお決まりの表現なので覚えておきましょう!
例文
① This bus will take you to the nearest station.
このバスが、一番最寄りの駅に連れてってくれますよ。
② What brought you to Japan?
日本には何をしに来たんですか?
③ The road signs lead drivers safely through the winding roads.
この道路標識のおかげで、運転手は曲がりくねった道路を安全に運転することができます。
防ぐ系の動詞
最後にご紹介する相性の良い動詞が『防ぐ系の動詞』です。
防ぐ系の動詞とは例えば「prevent, stop」などに分類される、特定の行動を阻止したり維持したりする動詞のことです。
これら防ぐ系の動詞は「動詞 A from ~ing:Aが~するのを防ぐ」という決まった形で使われることが多いので、このポイントを押さえたうえで例文を自分でも作ってみましょう。
例文
① The fence prevents trespassers from entering the property.
そのフェンスは、侵入者が所有地に入るのを防ぐために置かれている。
② Proper insulation stops heat from escaping the building.
適切な断熱が、建物から熱が逃げるのを防ぎます。
無生物主語を用いるメリット
ここまでは、無生物主語を用いた英文を作る際のポイントについてお話してきました。
続いては「無生物主語が使えるようになると、どんなメリットがあるのか?」についてをご紹介していきます。
無生物主語を使うメリット
- 単調な文章構成が避けられる
- 客観的な文章が作れる
単調な文章構成が避けられる
まず1つ目のメリットが『単調な文章構成が避けられる』ということですね。
日本語と異なり英語は、主語をあまり省略しない言語の1つだと言われています。
つまり言い換えれば、意識せず英語を話していると「I am ...」 のような文構造ばかりを使用してしまい、結果として単調でネイティブらしさのない英語力と判断されてしまうということです。
これはスピーキングに限らずライティングにも言えることで、無生物主語を用い表現力豊かな文章を作ることが、相手に良い印象を与える1つのポイントでもあります。
特に英検準1級・1級といった高難易度の試験を受験する際には、英作文の評価項目の1つの "文法のバラエティ性" が重要になってくるので、必ず使いこなせるようにしておきましょう!
客観的な文章が作れる
続いて2つ目のメリットが『客観的な文章が作れる』ということですね。
英語論文やエッセイを書く際の重要なポイントとして有名ですが "主語に人を置いた文章は主観性が強くなる" ということは昔からよく言われています。
無生物主語を用いた英文はその点では、感情抜きの客観性が保たれた文章だと判断されます。
この主観性・客観性の有名な例を1つ挙げると、みなさん外国の方に「何をしに日本に来たんですか?」と質問する際は、どのような英文を使いますか?
おそらく多くの人が「Why did you come to Japan?」と言うのではないでしょうか。
もちろん文法的にはなんの問題もない文章なのですが、言い方などによっては「なんで日本に来たの?」のような冷たい印象を与えてしまうケースもあります。
そこで代わりに用いられるのが、感情が入りすぎない無生物主語を用いた「What brought you to Japan?」です。
Japan を here に変えれば、よく病院で使われる「What brought you here today?:今日はどうされましたか?」にもなる便利な表現なので、ぜひ覚えておきましょう!
まとめ
この記事では、使うだけで表現の幅を広げネイティブらしさを出してくれる『無生物主語の使い方』についてご紹介していきました。
今回ご紹介した相性の良い動詞以外にも、無生物主語と共に使われやすい動詞というのはまだまだ存在します。
しかしまだまだ使い慣れていない初心者のうちは、最低限上で挙げたものだけでもマスターしておきましょう。
このブログではその他、英語に関する有益な情報を発信しています。
以下の記事では、オンライン英会話で最初に教えられる "I'm done." というフレーズについて解説しています。
「なんで過去分詞形なんだ?」などの疑問を持っていた方は、ぜひチェックしてみてください!