ついに2024年度の第一回試験から、新形式の英検が開始されました。
大幅な変更点と言えば、やはりライティングの要約問題やEメール問題が追加されたことでしょう。
まだまだ始まったばかりの新形式英検のため、どのように対策すればいいかわからず路頭に迷っている人も多いと思います。
そこで今回は、英検1級, 準1級, 2級で追加された要約問題を、短時間で解くための "3スッテプ解法" についてご紹介していきます。
それではさっそく見ていきましょう!
記事の内容
- 各級の要約問題の概要
- 事前に知っておくべき要約問題のパターン
- 要約問題を解くための3ステップ
- 要約問題の対策方法
記事の信頼性
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Contents
【英検各級】要約問題の概要
まずは英検1級, 準1級, 2級の各級における、英文要約問題の概要について見ていきましょう。
要約問題は言ってしまえば、英語長文を読みながら重要な部分を拾い、それを自分の言葉で短く言い換えまとめる作業のことです。
英検の要約問題では、1級, 準1級, 2級のどの級についても、長文の語数の約1/3程度に短く上手くまとめる技術が必要となります。
要約問題の配点については、どの級についても自由英作文の配点と同じため、余裕を持って合格を目指すならどちらもしっかり対策しておく必要があります。
以下の表に、私なりの要約問題の解答時間の目安を載せているので、自分のリーディング力, 自由英作文にかかる時間を考慮し、適宜調整して使用してみてください。
長文の語数 | 要約の語数 | 配点 | 目安の解答時間 | |
英検1級 | 約300 words | 90~110 words (約5文) | 32点満点 | 20~25分 |
英検準1級 | 約200 words | 60~70 words (約4文) | 16点満点 | 20分前後 |
英検2級 | 約150 words | 45~55 words (約3文) | 16点満点 | 15~20分 |
事前に知っておくべき要約問題のパターン
続いては『事前に知っておくべき要約問題のパターン』についてです。
英検の要約問題に使われる長文は、1級, 準1級, 2級のどの級でも3段落構成になっており、各段落にはある程度決まった文章の流れというものが存在しています。
この各段落の流れを事前に把握しておけば、長文を読む時間の短縮・要約の際のポイントが簡単に見つけられるなどのメリットが得られます。
まずは英検準1級, 2級で多く使われるであろう基本の段落展開 (王道パターン) を押さえ、余裕があれば英検1級のような難しい級で登場するであろう段落展開 (変則パターン) も押さえておくと良いですね。
もちろん他のパターンで段落が展開されることもあると思うので、過信しすぎには注意です!
段落展開 (王道パターン)
- 主題
- 賛成意見
- 反対意見
段落展開 (変則パターン)
- 現状
- 問題点
- 解決策 → 懸念点
要約問題を解くための3ステップ
続いては『要約問題を解くための3ステップ』をご紹介していきます。
新形式で突如現れた要約問題に戸惑いを覚えている人は、ぜひこの3ステップを活用し、解法をルーティーン化してしまいましょう。
要約問題を解くための3ステップ
- 各段落の重要な文章を抜き出す
- 抜き出した文章を抽象化・一般化する
- 全体の組み立て
① 各段落の重要な文章を抜き出す
まず要約問題攻略のためのファーストステップが『各段落の重要な文章を抜き出す』です。
英検の要約問題は、全体を上手く均等にまとめ上げるというよりも、各段落を1文または2文で要約 (段落要約) して解答を作成するのが基本です。
この段落要約を上手く行うためには、各段落に存在する "トピックセンテンス" と呼ばれるマーカーを探す必要があります。
トピックセンテンスとは、基本的には各段落に1つだけ存在する「その段落の1番の主張を表す文章」であり、これを上手く見つけ出すことができれば、どの文章を要約に使えばいいかという迷いを消すことができるというわけですね。
では「どうやってトピックセンテンスを見つければいいのか?」についてですが、基本的には「トピックセンテンスは各段落の1文目に存在することが多い」と言われています。
ですがまれに、背景的な説明をした後にトピックセンテンスを持ってくるパターンもあるので要注意です。
こういった通常の流れと異なる英文では、段落中のディスコースマーカーをヒントにして、要約への手がかりを見つけましょう。
以下に特に重要な3つのディスコースマーカーを、それぞれのトピックセンテンスを見つけるための特徴と合わせてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
逆説
まずは逆説のディスコースマーカーです。
代表的な逆説を表すディスコースマーカーには「However」や「But」などがありますね。
これらの表現を長文中で見つけたら、注目すべきはその後の文章です。
逆説の前に来ている文章は、その後の文章を強調するための前置きにすぎないので、間違えないようにしましょう!
逆説のディスコースマーカー
① SV. However, SV.
The new policy was intended to streamline the process. However, it ended up creating more confusion among the staff.
② Although SV, SV.
Although remote work has provided flexibility for many employees, it has also blurred the boundaries between work and personal life.
③ SV, but SV.
She wanted to join the meeting, but she had a prior commitment that she couldn't cancel.
例示
続いては例示を表すディスコースマーカーです。
代表的な例示を表すディスコースマーカーと言えば「For example」や「Such as」などがありますね。
例を示すのは、その手前に来ている文章が大事なことであり、それを読者に分かりやすく伝えようとしているからです。
よってこの例示の目印を見つけたら、その手前の文章に注目してみましょう!
例示のディスコースマーカー
① SV. For example, SV.
Many fruits are rich in vitamins. For example, oranges are an excellent source of vitamin C.
② SV, including 名詞.
The conference will feature several keynote speakers, including renowned scientists and industry leaders.
③ SV, such as 名詞.
The company provides several employee benefits, such as health insurance, retirement plans, and paid vacations.
追加
最後に追加を表すディスコースマーカーについてです。
代表的な追加を表すディスコースマーカーと言えば「Additionally」や「Also」などがあります。
追加情報を示すのは、その事柄を読者に正しく理解してもらいたいからですね。
よってこの追加の目印を見つけたら、その前後両方の文章に注目することが大切です!
追加のディスコースマーカー
① SV. Additionally, SV.
The new software is user-friendly. Additionally, it offers a variety of advanced features.
② SV. Also, SV.
The company has improved its customer service. Also, it has also reduced delivery times significantly.
③ SV. Furthermore, SV.
The research was well-conducted. Furthermore, the findings have significant implications for future studies.
② 抜き出した文章を抽象化・一般化する
ステップ1で各段落の重要な文章を見つけることができたら、次はその文章の要約作業に移ります。
すでにお伝えした通り、英文要約は、指定された語数制限の中で自分の言葉で上手く文章をまとめる必要があります。
このステップ2では、各段落で見つけた重要なポイントを『抽象化・一般化』という作業で、自分なりの短い要約文にまとめていきます。
ただしあまり抽象化・一般化を行いすぎても、話の本筋がぼやけてしまう可能性があるので、原則は「限られた語数の中で具体的な話をし、余計な部分を抽象化・一般化する」という考え方です。
抽象化・一般化の例
- We can get up whenever we want, eat whatever we want, and go wherever we want.
→ We have freedom (抽象化)
- apples, oranges, strawberries
→ fruit (一般化)
③ 全体の組み立て
最後にステップ3として『全体の組み立て』を行っていきます。
ステップ2までの作業で出来た自分なりの英文をただ羅列するだけでは、読者に伝わりやすい要約の解答とは言えません。
ここでは文脈に合った接続表現(Also, However, Unfortunately...)を使い、上手くそれぞれの文章の流れが繋がるようにしていきます。
また各段落の要約で何度も登場してしまっている単語・フレーズを、別の表現に言い換える作業も場合によっては必要になってきます。
語彙のバラエティ不足は、点数を落とす1つの大きな要因になりかねませんからね。
以前に「ライティングにおける書き換え技術」を記事として紹介していますので、言い換えに自信のない人は一読してみてください!
要約問題の対策方法
最後に『現状できる英検の要約問題に対する対策方法』をご紹介しておきます。
2024年度から始まる新しい形式のため、まだまだ出回っている情報は多くありません。
以下の2つの対策方法を利用して、これからの新形式の英検に挑んでいきましょう。
英検の要約問題の対策方法
- 2024年度以降の旺文社出版の過去問を使う
- 1つ下の級の長文問題を使う
2024年度以降の旺文社出版の過去問を使う
まず1つ目の対策方法が『2024年度以降の旺文社出版の過去問を使う』です。
まだ現段階では始まったばかりの英検新形式ですが、2024年度の旺文社から出版される過去問では、予想問題として英文要約の解説が載せられています。
英検公式サイトなどから発表されたサンプル問題(英検リニューアル情報)なども活用しながら、対策していきましょう。
1つ下の級の長文問題を使う
2つ目の対策方法が『1つ下の級の長文問題を使う』です。
英検公式などから配布されているサンプル問題を見ると、英検1級なら要約する長文のレベルは英検準1級程度、英検2級なら準2級程度のレベル感の長文が要約問題に使われていることが分かります。
つまり、受験する1つ下の級の長文問題を要約問題の練習材料として使うことが効果的だと言えますね。
まとめ
この記事では『新形式の英検で新たに追加された "要約問題" の解答のコツ』を3ステップを使ってご紹介していきました。
英語以外についても言えることですが、やはり本番で力を発揮するには物事をルーティーン化することが非常に重要です。
ぜひ今回紹介した3ステップを練習の段階から実践し、本番で力が出し切れるようにしておきましょう。
このブログではその他、英検に関する有用な情報を発信しています。
以前にも『英検の要約問題を攻略する5つのコツ』について記事を書いているので、ぜひ併せてチェックしてみてください!